女性の生き方を考える

先月27日(土)、中高の「女性の生き方を考える弁論大会」が行われました。当日のブログにも「超速報」として紹介しましたが、今日はもう少し丁寧に振り返りたいと思います。

この弁論大会は、歴史も長く、国際ソロプチミスト浜松様のご後援を受けています。学年ごとの課題を生徒全員が作文にしたため、クラス予選を経て、学年代表者が講堂の舞台に立ちます。客席には、ソロプチミストの皆様がお越しくださり、出場者の弁論を熱心にお聴きくださいました。

3時間目は中学、4時間目は高校1・2年生の弁論が行われました。

中学1年 「働くということ」「働く女性になるために」
中学1年生は、身近な女性を取材してその生き方から考えたことを原稿にまとめました。出場生徒二名が紹介したのは、輸送機器を扱う会社で働く女性、看護師として働く女性でした。それぞれ、取材を通じて、社会に出ても勉強の必要があること、好きなことや得意なことを生かして働くことがやりがいにつながることなどを知り、男女の格差があることや女性として働きやすい/働きにくい職場があるという現実も学びました。ヨーロッパと比較して、日本の女性の働く環境がもっといい環境になってほしいという主張もありました。

中学2年 「責任をもって」「聞こえてきた声と固定観念」
2年生は夏休みに行った「職場体験」を通じて考えたことをまとめました。須山建設に行き、女性の現場監督の姿を間近で見た生徒は、「建設業は男の仕事」というのは偏見で、様々な分野で性別に関係なく活躍できることを知り、視野が広がりました。
谷島屋書店で体験した仕事を紹介した生徒は、日本の女性管理職の少なさという社会問題に触れ、自身にもあった固定観念に気づいたことを発表しました。

中学3年 「戦う一本のバラ」「差別と区別」
中学の最上級生は、世界で活躍した(今活躍している人も含めて)女性たちを一人選んで本を読み、その生き方から学んだことを発表しました。
「一本のバラ」はナチスへの抵抗運動を行って死刑に処された女性ゾフィー・ショルのことです。組織に取り込まれる大衆の心に抵抗し、人権への意識を持って自分を貫いたゾフィーから、どんなに自分が弱く小さくても石や感情を貫くべきだということを学びました。
もう一人の弁論は、マララ・ユスフザイの生き方から学んだこと、触発されたことについてでした。何度も立ち上がって信念を訴え続けるマララさんの生き方は、今年も多くの生徒の心に響いたようです。

高校1年 「自己表現と社会貢献の重要性」「自分に自信を持つ」
一人目は、日本の女性の「ファーストペンギン」として留学を体験した津田梅子の、後に続く女性のための一歩を踏み出した生涯を紹介。梅子の主張が今の日本でも解決されていない現状を訴え、自分もまた次の一歩を踏み出したいとする弁論でした。
二人目は、香山リカ著「しがみつかない生き方」を読み、「成功とは何か」「幸せとは何か」について新たな視点・考え方を得て向き合うことができるようになったと語り、自信を持った女性になりたいという決意を述べました。

高校2年 「タブー視する風潮を私たちから変えよう」「女性管理職育成が急務」
高校2年生は、様々な女性を取り巻く社会問題をテーマに調べ、弁論しました。
更年期に苦しむ母の姿から、「更年期」「月経」などをタブー視する風潮を自分たちで変えて、女性が社会で活躍できるようにしようと力強く訴えた生徒。そして、最後を飾った生徒は、「女性管理職の育成」という日本の切迫した問題に正面から向き合い、資料を紹介しながら、女性管理職のロールモデルを提示する必要性を主張しました。さすが高校2年生、二人とも、堂々と、そして語り掛ける姿も爽やかでした。

大会後、国際ソロプチミスト浜松の皆様からいただいた盾を手に、記念撮影が行われました。出場した生徒たちにとって、自分の主張と向き合い、それを客席にわかりやすく伝えるという練習は、きっと「伝える技術」以上の何かを得た体験だったろうと思います。考えたことを「書いて」「話して」大勢の人に「伝える」というアウトプットは、これから社会で生きていくとき、とても大切なものとなります。

最後に、高校の部でお話しくださいました国際ソロプチミスト浜松会長の畑すみ子様のお話をご紹介します。

畑会長が紹介したのは、高校1年生が弁論テーマに選んだ津田梅子さんのことでした。たまたま見たという番組「ザ プロファイラー」で津田梅子の生涯に触れ、畑様は2つのことをメモしたそうです。
①貫いた考え方はオールラウンドウィメン。視野を広げることが大切。
②女性の地位向上こそ日本の発展につながる。
「160年前に生まれた津田梅子の考えが、今年7月、50000円札になって戻ってきます。視野を広げる人になってください」
畑様の力強いお話は、10代の弁論大会への熱いエールでした。

「女性の生き方を考える弁論大会」に登場する弁論は、毎年、生徒たちだけでなく、一緒に聞いている私たち大人にも大きな刺激や気づきをもらえるものです。私自身も、若い生徒の主張の純粋さをまぶしく思いながら、日本の、そして世界の女性を取り巻く様々な問題をもっと知り、疑問を投げかけ、しっかりと考えて一歩を踏み出したいと改めて思いました。いつもこの弁論大会にお越しくださり、生徒たちを温かく励ましてくださいますソロプチミストの皆様に心より御礼申し上げます。