小さな白板2022 第14週

図書館入り口に掲げた「小さな白板(ホワイトボード)」、テスト週の6日間を振り返ります。

7月4日(月) 夏空や青のピカソと黄のゴッホ   清水宏晏

7月3日の朝日新聞の「朝日俳壇」で出会った一句です。青と黄色と言えば、ウクライナの国旗。夏空の美しい青色を見上げながら、その穏やかさや清らかさに見とれます。しかし、同じ空の下で今ウクライナで起きていることを想わずにはいられません、ピカソの描く青、ゴッホの描く黄色、特徴的な二人の画家の愛した色と作品を思い起こしながら、夏空を見上げている作者はどんな思いを巡らせていたのだろう…と想像しました。

7月5日(火)  ポケットの無いスカートを作る人はハンカチと鍵をどうしているの   田宮智美

ふとした瞬間の呟きが切り取られて、一つの短歌になりました。スカートは、女らしさの象徴かもしれません。そのスカートには、ほぼポケットがありません。女性用のジャケットにも、ポケットのないものが目立ちます。ポケットのない不便さ、皆さんは味わったことがありませんか? 作者の素朴な疑問に、「うん、そうそう!」と共感したのは私だけでしょうか。

7月6日(水)  スカートにポケットがついていることは希望の変奏曲かもしれず   小松岬

ポケットの短歌がもう一首。スカートについているポケットを肯定し、「希望の変奏曲」かもしれないととても素敵な発想をしてくれた作者に、「ブラボーッ!」と叫びたくなりました。スカートのファッション性や機能性、そしてコストから、ポケットを不要なものとして製作者たちは排してしまうのかもしれません。その一見「無駄」と思われるものが「希望の変奏曲」とは…。作る側の方々に、この短歌が届くといいな、と思いました。(「ソーイング・ビー」という番組で、「私、スカートには必ずポケットを作るの」と言っていた出場者がいたなぁ、と懐かしく思い出しました。彼女にも、ポケットは「ハンカチや鍵を入れる」場所であり、「希望の変奏曲」的な存在だったんじゃないかな、と思い至りました。)

7月7日(木) 宇宙をかける 流れ星のように 心に翼つけて いま旅立て
                  チューリップ「Shooting Star」(作詞:財津和夫)

七夕の夜は星が見えるといいな、と思いながら、この詩を選びました。チューリップのギタリストの命日でもある7月7日は、ファンにとって特別な日です。

7月8日(金) 肉体なるキグルミ纏い魂は「にんげん」というゆるキャラになる  笹公人

6月28日 文藝春秋デジタルで見つけた短歌です。「人間」「自分」という存在を、「着ぐるみ」とか「ゆるキャラ」に見立ててしまうところに、なんて自由な発想なのだろうとびっくりしました。肉体がキグルミで、中身である魂は「にんげん」という名のゆるキャラとしてふるまうことが求められている・・・それが、現代社会かもしれません。現代社会への風刺を感じます。

7月9日(土) 
どんな理由があろうとも 人を傷つけ、殺し合う行為は 許されないことだと思います。 遠い未来、 ボク達さえいなくなってるかもしれない未来、 人類とか国境を越えて、 みんなが仲良く生きてたらいいのになぁ 。             高橋和希(『遊☆戯☆王』33巻より)

マンガ家の高橋和希さんの訃報に対し、この文章が紹介されていました。良い言葉だなと思い、紹介しようと考えていた矢先、安倍元首相の銃撃のニュースが飛び込んできました。「殺し合うことは許されない」という高橋さんの主張を、噛みしめながら、白板に書きました。

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今日は、参議院選挙投票日。昨夜遅く安間川流域への「警戒レベル4」が発令されました。洪水になったらどうしよう…と考えた時、「投票」とは決して簡単なことではない、貴重な権利を行使したい!と強く思いました。夜が明け、流域の無事を確認して、10時の校区PTAの前に、母と二人、投票所に行ってきました。

西遠の18歳たちもきっとドキドキしながら初投票を済ませたのだろうな、と想像しています。まだ投票所に行っていない皆様、このブログを読んだら、すぐに投票に行ってくださいね。
 #投票はあなたの声 #わたしも投票します