小さな白板2025 第34週

学園祭も近づいた第34週。秋の風情を感じる短歌を選びました。

皆さんは、捨て猫に心動かされたことはありませんか? この短歌、すごく郷愁を誘います。昭和の頃には、たくさん捨て犬や捨て猫がいましたので…。ふところに抱いて子猫を連れ帰ったこの子、この後、どうなったんだろう…? この子は?この猫は?

最後まで読むと、ただの味覚の秋の歌ではないことがわかりますね。「震災」という2文字が重くのしかかります。震災前を知らない友と海鮮丼を食べている女川出身の作者。友には分からない、失われたもの、失われた風景を心にとどめ、おいしいねと海鮮丼を食べている二人のシルエットが頭に浮かびました。震災を知らない友がこの地を訪ねてくれたこと、生きて友情を育てられることに、彼女はうれしさを感じているのではないでしょうか。

この日は、前日の東北から移動して、信州の短歌。前半では「食べすぎ」を人間のこと、私のことかと思わせて、そのあと食べ過ぎたのは実はすずめだと種明かし。稲刈り後の田んぼで、すずめたちは幸せな食事をしていることでしょう。実りの秋、お米の取れる秋であってほしいですね。

いつも思うのですが、彼岸花=曼殊沙華は、突然現れますよね。今年は、黄色い曼殊沙華を昨日見つけました。お彼岸、秋空に向かってひっかくように花びら(爪のある指先みたいですよね)を開く曼殊沙華。「見ることは見慣れること」という言葉を、皆さんはどう解釈しますか?

絶望しないで歩き続けること。朝ドラ「あんぱん」の「絶望に追いつかれないように走り続けろ」というセリフを思い出しました。学園祭が近づいて、いろいろトラブルもあるでしょうが、絶望しないで歩き続けることが大事!

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歌壇の花が変わりましたね。